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「 皇子と姫と西国の姫君 ④ 」
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カガリ誘拐の真相です。

長くなってしまったので、途中まで。

設定ですが、

・右大臣・・・ギル
・左大臣・・・ネオ
この二人は宮中でライバルです。

二人の勢力争いに巻き込まれた、と思っていただければ・・・

それと、不自然ですが、皇太子妃フレイは左大臣ネオの娘です。






アスランは左大臣を睨みつけ、無意識にカガリを自分の背に回す。

「そんなに怖い顔をしないでもらいたいなぁ、アスラン皇子」

「…なぜカガリを連れ去ったのか、話してもらえますか?」

細められた瞳にはっきりと怒りの色が見てとれて左大臣も口元を引き締めた。
二つ間がある部屋で、二人とは違う間に腰を下ろす。人払いをして部屋の前の侍女を下がらせた。

「姫のことは悪かった、部下にはステラを保護するよう指示したんだが… ‘金の髪’という特徴しか分からなくてね」

詳しくは知らされていなかった理由が左大臣の口から出るのをカガリも静かに聞いていた。

「でもなぜ、貴方がステラを探すのですか?」

「ステラは姉君の娘・・・、わたしの姪にあたる。」

「え、でも、ステラはシンが連れて来たって…」

数ヶ月前、一人ぼっちで町にいたステラを保護したのはシンだ。
素性が分かるようなものをステラは何も持っていなかった。

「いや…確か、西国の姫が行方不明だと…」

その頃そんな噂が流れていた、とアスランは思い出す。

「いやぁさすが第七皇子、鋭いねぇ。その通りだ。争乱で姉上は亡くなった。 姫君だけは戦火を逃れたと聞いて、それからずっと探していたんだ」

左大臣の軽い口調に、ますますアスランの表情は厳しくなる。

「そうでしたか…。しかし、カガリをすぐに返してくれれば、貴方を訴えなくて済んだ」

痛烈な言い方に部屋の空気が張り詰める。

「アスラン・・・」

カガリの前でこれほどアスランが昂ぶりを見せたことはない。すぐにでも左大臣に部下を差し出せと言い出しそうだ。



しかし左大臣は、アスランの鋭い視線を受けながら、なぜか安心したような息をついた。

「レノア様も素晴らしい御方だが、皇子もそれを受け継いでいるな。…良かったよ、皇子があちら側の人間じゃなくて」

「あちら側…?」

左大臣の言葉をアスランとカガリがほぼ同時に反復し、次の言葉を待った。

「ギル…、右大臣のことだ」

「右大臣…?」

「皇子も先日、ギルのはかりごとに振り回されただろ…? あっちはきわどい策をやりたい放題…。こちらも大変なんだ」

右大臣ギルは、偽の‘歌姫’とアスランの婚儀を結ばせようとしたことがある。
彼は、現帝の信頼も厚く、宮中で最も政治手腕に長けている。

しかし・・・、目的のためには手段を選ばないという厄介な側面をもっている。

左大臣は娘のフレイを皇太子イザークの正室としたが、それ以外の皇子たちと婚姻関係をしているのはほとんどが右大臣家の姫君だった。

「で、あちらさんの勢力に負けてばかりでは困る。アスラン皇子にこちら寄りになってもらえないかと思ったんだ」

「…カガリは人質、ということですか? しかし俺はすぐにでもカガリを連れて帰りますよ。 ずさんな計画、ですね・・・」

「いいや、私の狙い通りだ。先ほど皇子は皆の前で姫への想いを示してくれた。‘左大臣家の姫’へね…」

「カガリは貴方の身内ではないでしょう」

問答を繰り返すうちにアスランの口調が厳しくなって、カガリはどうしていいか分からない。
それに左大臣の意図がいまだに分からず、カガリも怪訝な顔になる。
自分は大和家の人間だ。左大臣家の姫として扱われたことの意味がよく分からない。


左大臣ネオはそれまでと表情を一変させ、真摯な態度で心情を告げた。

「はっきり言おう・・・。カガリ姫には、左大臣家の養女になってもらいたい。そして‘左大臣家の姫’としてアスラン皇子と婚儀を取り行ってほしい」


「えっ…?」

左大臣の言葉ににカガリは耳を疑った。










つづく











昨日の更新。久しぶりの『皇子と姫』だったのですが、これまでの話を読み返してくれた方がけっこういらっしゃったようです。

しかし、途中で文が抜けている箇所がかなりあったようで・・・
教えてくれた方、本当にありがとうございました。
お名前が無かった方もいらっしゃるのでこの場でお礼させていただきます。



今回はアスランがピリピリきてますね。
そこが萌えポイント?!

今週末は『皇子と姫』で染まっていただけたらいいなぁ。


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キーワードは・・・、うーん、浮かばない。
真面目な話だったので、萌えが無いんだよ!!
・・・すみません。


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