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「 学パロ 9 」
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いつか緑の朝に・・・ 9


※ アスランとミーアが二人でいる場面がありますが、ただいるだけ、それだけです。


 


コンコンとドアを叩く音がして、アスランは玄関を開けた。

「今、いいか?」

通路にはカガリが立っていた。
エプロンを着けているカガリの姿にアスランはまず気づいたが、怪我をした足がしっかり地面に着いているのを確認した。

「足・・ もういいのか?」

「あ、うん。おかげで、もうだいぶ良くなった。」

大きく腫れた足首はだんだん治ってきていた。
まだ走ったり、力をいれることはできないが、日常生活にほとんど支障は無い。

「で、なにか用か?」

「あ、うん・・・ 怪我の時にいろいろ世話になったから・・」

「・・・ ?」

「料理作ったんだ、わたし。」

今まで、多く作りすぎた時には何度か隣に持って行った。

でも、今回はお礼のために作ったものだ。

「で、良かったら一緒に食べないか?」


ここ一週間アスランはカガリの鞄を持ったり、買い物に行けないカガリの代わりについでに何かを買ってきたりしていた。

それは自分のせいで怪我をした相手に謝罪の気持ちがあったから。

その行動に、お礼をと言われアスランは少し驚いた。


「・・・男を部屋に入れていいのか?」


「おまえもう一回入ってるだろ。キラの友達だって素性は知ってるし、問題ないだろ? 嫌なら持ってくるけど・・・」

そういうことじゃないだろ・・・
と、アスランは思ったが相手の好意を断るのも悪い気がしてゆっくりとうなずいた。








「嫌いなものあるか?」

「・・・魚。」

カガリがキッチンから部屋にいるアスランに訪ねると、ぼそっと小さな声が帰って来た。

「ふーん、おいしいのにな。まぁ、今日は魚ないから安心して食べてくれ。」

カガリが温めた料理を皿に盛って運んでくる。
自分とアスランの前に静かに置いて、どうぞ、食べてくれ。と手を合わせながら言った。


「料理、毎日してるのか?」

アスランが口にした料理はどれも味がしっかりついていて美味しいものだった。
あまり食事にこだわらない自分はめったに料理をしない。

「うん、まあな。ずっとお父様と二人だったから、料理はわたしがしていたんだ。まあまあだろ?」

「・・・そうだな。」


静かに料理を口に運ぶアスランをカガリはちらっと見た。

アスランの部屋で知ってしまったこと・・・

それが原因でアスランは一人で暮らしているのだろう、と思った。

(一人で寂しくないのかな、コイツ・・・)


両親が離婚する・・ 子どもにとってはすごく辛いことなんだろうな、とカガリは思う。

両親が有名人ならなおさらで・・

学校でアスランのことを噂する生徒も少なくない。

でもアスランはそんな詮索を受け付けない、冷たい態度を見せている。

でも、アスランの怪我をした自分への優しさ・・



本当の彼はどっちなんだろう・・・











放課後の生徒会室。

アスランが部屋に入ると、キラとミーアが先に来ていた。

「あ、アスランよかった。僕さ、今日早めに帰りたいからこれよろしくね。」

入ってきたアスランの手にどさっと書類が置かれる。

小声でキラがアスランに伝えた。

「今日ね、僕とカガリの誕生日なんだ。だから、カガリの部屋に行くの。後よろしくね。」

「は・・・?」

アスランはキラの言葉に目を丸くする。

生徒会長であるキラは今まで私用で生徒会をおろそかにすることはなかった。
いくら親戚とはいえ、誕生日を一緒に祝うなんて・・・

先日もカガリが怪我をした日にキラは放課後すぐさまマンションに行った。

キラの態度は親戚の度合いを超えているような気がした。



「会長、最近早退多くない?」

キラが出て行った後、ミーアがつぶやいた。

「ああ、まあなんか用事でもあるんだろ・・」

二人っきりの空間に気づいたアスランはわざと離れた椅子に座る。


「俺は書類を片付けてから帰るから、先帰れ。もう暗くなる。」

「えー、一緒に帰ってくれないのぉ?!」

「すまないが、一人で帰ってくれ。」


下手に帰ったらキラと出くわすかもしれない。

今日は遅く帰った方がいいな、とアスランは思った。








*********




「じゃあ、乾杯~」

カガリの部屋に来たキラが持ってきたシャンパンで誕生日を祝う。
並べられた料理にキラは感激する。

「料理上手だね、カガリ。いいお嫁さんになるねー」

双子の妹の意外な特技にキラはにこにこと微笑んだ。

「たいしたことないぞ・・ 」

「カガリがお嫁に行くなんて言ったら僕泣きそう。」

「相手がいそうにないけどな。・・キラは卒業したら結婚するのか?」

「うん・・ まあね。」

親が決めた婚約者とキラは卒業後に結婚する。

キラの立場なら仕方がないことなのだけれど・・

「父さんには感謝してるし。ラクスのこと好きだしね。納得してるよ。」

「キラは大人だなぁ・・」

双子だというのに、やっぱりキラと自分は違うなとカガリは改めて思う。
自分はまだ恋も知らないのだ。

「で、カガリは好きな人とかいないの?」

「うーん、いないな・・ そういうのよく分からないんだ。」

「そう・・ アスランとかどう?」

キラの口から出る名前にカガリは思わず、のどをつまらせた。

「な・・なんで・・」

「アスラン最近変だけど、昔から優しいし・・。アスランなら安心だよ。」


はは、とカガリは笑う。

てっきり自分とアスランの関係がばれたと思った。
でも、キラはまったく気づいてないようだった。

「・・アイツ、彼女いるだろ?」

カガリは越してきたばかりに出会った女の子を思い出す。
それに、アスランは学校ではミーアに追いかけられてばかりだ。

「ん、ミーア?あの子はただアスランのこと好きなだけ。」

「そうなんだ・・・」

キラは赤い髪の女の子の存在は知らない・・・・

一人で暮らしていることも伝えてないみたいだし・・・


親友のキラにも言わないで、どうしてこんな暮らしを送っているのだろう。

カガリは少し隣の部屋を気にしながら、キラとの時間を楽しんだ。







つづく。。。





学パロ、は毎日ちょこちょことキーワードもらうので、
アップしました。

寂しそうなアスランをカガリは放っておけないんでしょうねー

兄キラは、カガリにアスランをプッシュしてます。
珍しいなー
キラは二人の仲に反対する設定が多いですけどね、この話では応援してくれそうです。

ってまだ恋もなにも始まっていない・・・

キーワード:学パロっ


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