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「 学パロ 5 」
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いつか緑の朝に... 5





マンションを出てから20分、カガリはその間ずっと早足だった。
そうしないと前を行くアスランを見逃してしまうから。

しばらくすると、同じ制服の学生が同じ方向に歩いていく。さすがマンモス高校。登校する学生の数も並じゃない。

(もうアイツを追いかけなくてもいいか…)

カガリはふぅっと息をついてゆっくりと歩く。
高い塀に囲まれた建物が見えてきた。

あれが暁星高校―…

西洋風の建物がいくつか見える。大きな時計塔を中心に学生棟が並んでいるようだ。

道行く生徒の流れに沿って進むと正門が見えてきた。
正門の前で生徒達が一瞬足を止め、またすぐに歩き出す光景がカガリの目にも映る。

その生徒たちの視線の先には…、カガリの知ってる人物がいた。
その姿を確認するとカガリは叫んで、駆け出した。

「キラッ!!」

周りにいる生徒がビクッと反応して声のするほうへ振り向く。
呼ばれた人物もすぐさまカガリに視線を移した。

「か、カガリ!おはよう。」

「おはよう、キラ。」

「大丈夫だったみたいだね、初登校どうだった?!少し心配でここで待ってたんだ。」

「大丈夫だって言っただろ?」

ふふんと、誇らしげに言ったカガリの横で、ぷっと笑う声が聞こえた。

「お、おまえっ」

朝から二度も同じ人物に笑われてカガリはたまらず声を震わせる。


「え?カガリ、アスランのこと知ってるの?」

『こいつにさっきも笑われたんだ。失礼なヤツだと思わないか?!』
いつものカガリだったらこんなセリフを口にしたはず。

しかし、カガリは意外にも冷静な言葉を発した。転校初日という緊張感がふだんのカガリを多少隠したのかもしれない。

「いや・・知ら・・ない… いきなり笑われたから、つい」

「紹介するね。アスランは、僕とは幼なじみなんだ。親友、だよ。」

言いながらキラはアスランに向かって笑った。
そして今度は親友に向かってカガリを紹介した。

「カガリは、遠い親戚の子なんだ。今日からこの高校に編入することになったんだ、まだ知らないことあると思うからアスランも教えてあげて。」

“親戚の子”

キラとの関係はあくまで親戚なんだと、カガリは改めて自分に言い聞かせる。
さらりとアスランに紹介するキラの言葉には迷いがなかった。
キラはもう自分の中で整理をつけたのかもしれない…
そんなことをカガリが思っていると、すっと手が差し伸べられた。

「アスラン・ザラです。よろしく。」

凛々しく微笑んだアスランは、さっきとは別人のよう。

カガリはおそるおそるその手をとると、ひきつりながら笑った。

「カガリ・ユラだ・・よろしくっ・・・」

キラに分からないように握ったその手に力を入れる。
ぴくっとアスランの目元が動く。



***************


正門で会ったキラは式の準備があると言って、先に校舎へ行った。
残されたカガリはアスランをきっと睨んだ。

「おまえ、どうしてキラの前であんな態度とるんだ?親友だろ?!」

「君こそ、どうして嘘をついた?」

質問に質問で返されてカガリはムッとする。

しかし、アスランの言うことはもっともでキラに嘘をついたのは事実。

(だって、あれほど言われてたのにキラとの約束を破ったんだ、わたし・・・ やっぱりこんな奴助けるんじゃなかった・・・)

あの日、アスランを家に連れ込んだこと。
カガリはキラに後ろめたく感じてしまう。
しかも、あの時はアスランがどこの誰かも分からなかったわけで…

(あぁー!! そんなのキラが知ったら心配するに決まってる…
絶対に言えない・・・ はぁ・・)

ぶつぶつと言いながら廊下を進むカガリにアスランは冷たく言った。

「とにかく君にどんな理由があるのか知らないが、俺に関わるな。」

そう言い放ってアスランはスッといなくなった。


(な、な、な、なんなんだよっ、アイツは~~!!!)


残されたカガリはわなわなと震え、悔しさでしばらくその場を動くことができなかった。






つづく。
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