新学期―…
今までとは違う学校の雰囲気にカガリは少し戸惑った。転校生、ということで周りの視線を意識したけれどクラス編成の行われた教室では知らない顔がいても特に誰も気にしない。
担任の教師から「編入してきた生徒がいるから仲良くしてやってな」と軽く紹介されただけだった。
想像以上の注目を浴びずに済んでカガリはホッとした。
初日の授業は行われず、講堂での始業式とHRだけだった。
始業式でキラが壇上で挨拶をしている姿が印象的だった。
(ほんとにキラ生徒会長なんだな…)
また自分との血の繋がりを疑ってしまいそう…
そんなことをカガリが考えているとふいに呼ばれた。
部活動に所属していない生徒がまばらに帰っていく。カガリも下駄箱で靴を履き替えようとしていた。
「あなた転校生?」
「う、うん…」
カガリを観察するような視線に思わず恐縮する。
(これは友達になりたいって感じじゃないよな…。)
「朝アスランと話してたわよね、どういう関係?」
「へ・・・」
ピンクの髪。ライトブルーの瞳。
さらりとした髪が風に舞って揺れる。
「べ、べつにアイツとは・・・」
関係ない-・・・
本人にも、俺に関わるな。と言われたし、カガリだってこんな質問を浴びせられるのが嫌だ。
「関係ない。キラと話していただけだ!!」
「キラって・・ 会長と知り合いなの?」
しまった-・・・
ついキラの名前を出してしまったことにカガリは後悔した。
あまり知られたくないのに・・・
「とにかく、関係ないんだからなっ!」
「あ、ちょっと・・」
カガリは足早に去った。後ろから甲高い声が聞こえるけれど気にしない。
(なんでアイツとの関係を疑われるんだ?いい迷惑だ!おかげでキラの名を口走っちゃったじゃないか!)
門までの通路を他の生徒たちをかきわけ走っていくカガリ。
そんなカガリを学生棟の上から見つめる視線があった。
「カガリだ。走ってる・・ 元気だなぁ。」
キラは生徒会室の窓から煌く黄金色の髪を見つけて微笑む。
その隣で座っていたアスランも目線を落としてカガリを確認した。
(似てないな・・)
穏やかで優しい性格の友人と、隣に越してきた少女とは似てない-・・・
そう思った。
「カガリはね、僕の大切な子なんだ・・」
「・・・・・・・・・。」
キラの真意が分からなくてアスランは戸惑う。
友人には付き合ってる彼女がいるはずで、「大切な子」とはどういう意味だろう。
二股をかけるような軽い奴じゃないことは自分がよく知っている・・
アスランは少し考えたが、まもなく思考をとめた。
俺には関係ない―・・・
★
今は「関係ない。」だけど、そのうち関係あるようになるんだって。
ぐふふ。
アスカガらぶらぶまでは遠い道のりのこの学パロ。
長くおつき合いいただけると嬉しいです。
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