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「 学パロ 2 」
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いつか緑の朝に… 2





これは夢・・・?

あたたかい家で父と母と自分。

3人で笑って話している。



・・・夢だ。

こんなあたり前の光景。
俺には無かった。

だから、これは夢だ-・・




「・・・んぅ・・」

重いまぶたを開けるとくすんだ色が広がる。
思考はすぐに冴えない。
音も・・あまり感じられない空間。

ここは・・・?

重い頭と体を無理矢理起こす。
クラクラとめまいがしたが、振り払って思考をたぐり寄せた。

どこからか漏れる光。
そこに手を伸ばすと、カーテンの隙間から光が差していた。少しその空間を広げてみると、サッと眩しい光が自分に飛び込んでくる。

眩しさに顔をしかめながら、自分の居場所を確認した。

(ここは一体・・?)

どこだろう。殺風景な部屋。
家具も無い、ダンボールが数個置いてあるだけ。
自分の体には毛布がかけられている。

ふと、部屋の片隅に目をやると、毛布のかたまりがもうひとつあった。

「ん~・・・」

突然聞こえた声に体がすくんだ。

(なんだ?)

毛布のかたまりから、黄金色がはみだしている。
もぞもぞと動くそれは人間だと認識できた。

「おい・・・」

呼びかけても一向に目覚める気配は無い。
差し込む朝日が強くなって視界が鮮明になる。

幼い顔が寝息をたててすやすやと寝ている。
なんて穏やかに寝ているんだろう、自分とは違うその安らぎが少しねたましい。


「おい!起きろ。」

鋭い声にぴくっと反応して、うっすらと瞳を開けた。

「おい・・ 起きろ!」

「・・・んー?!」

片目を瞑ったままでむくっと起き上がる。
さらさらと流れる髪が朝日を受けて輝いた。

「んー、おはよ・・」

この状況で意外すぎる言葉が出てきて唖然とする。

「おはよー、じゃないだろう・・
 ここはどこだ?おまえは?」

「・・・ん?!・・・あ、あー!!!!」

「やっと起きたか。で、ここはどこだ」

掛けていた毛布をさっと体に巻いて警戒される。

「・・・わたしの部屋だ。」

「おまえの?」

「そうだ。」

「なぜこんな所に・・・・。」


生徒会の話し合い・・・

迎えに来た母の車に乗って・・・

それから・・・?

「おまえっ、ドアの前に座ってるから邪魔で・・ しょうがないからここに・・・」

「・・・・・」

「憶えてないのか?」

「・・・あぁ。」


「じゃあ・・」

「ちょっと、おまえっ!!」

「なんだ?」

「もう大丈夫なのか?!」

「・・・あぁ。」

毛布に体を包んで必死に叫ぶ姿。
変な奴・・・

「ちょっとっ・・ おまえっ、何か言うことないのかよっ」

「何かって?」

「倒れていたおまえをここまで運んだんだぞ。わたしがっ・・」

わたし・・・?

女か・・?

そうか、だから毛布にくるまっているのか。
ハスキーな声で、男っぽい口調だからてっきり・・・

女の部屋となると、なおさら早く出るべきだ。

「じゃぁ。」

何も置いてない廊下は多少薄暗くてもすんなり進めた。
ドアを開けると朝日が全身に当たる―・・・

広がる景色は見慣れたもので・・

ここは・・・

マンション??

閉まったドアを改めて見ると、やはり見慣れたものだった。

プレートに書かれた番号を見て苦笑した。


「変な女・・・」


   3へつづく...
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