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「 学パロ 1 」
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いつか緑の朝に… 1






「…うん、なんとか荷物は整理したぞ。」

『ごめんね、僕も手伝いにいければ良かったんだけど。』

「いいよ、キラ用事だったんだろ?!まだかかるのか?」

『うん、まだちょっと…』
「じゃあ頑張れよ!」

電話越しから片割れを呼ぶ声がする。

『あ、うん、じゃあ。カガリ、戸締まりはちゃんとしてね!』

「あぁ、じゃあまた学校で。」

通話を切ると途端に部屋がシンとする。今は段ボールだけが置かれている部屋。これからわたしが住む部屋…

(荷物は確認したから…)

お昼すぎにここに着いて、荷物を確認していたらあっという間に日が暮れた。
キュルルとお腹が鳴る音がする。

(とりあえずごはん…)

まだ調理器具が揃っていなくて自炊は難しい。
なにか買ってこよう…

寮に入りそびれて急遽親が借りたマンションの一室。しっかり鍵をかけ外に出た―…


近くのコンビニで今日の夜ごはんと明日の朝用にパンを買って部屋へと戻る。

(まだ道が分からないな…)
引っ越してきたばかりで地理がほとんど分からない。好奇心はあるが、夜が更けてきた。キラにも念を押されたし…

一人暮らしをするにあたって、父親と兄であるキラにさんざん注意を受けた。
戸締まりはしっかりすること、夜はなるべく外出しないこと、他にもいろいろ…
(そんなに危なっかしいのか、わたし…)

マンションに着いてオートロックの鍵を開ける時も後ろを振り返って人影がないことを確認する。
これもさんざん言われたから…

コツコツと靴音が廊下に響く。
(あれ―?)
先にある大きな影。
何かいる・・・

人?

冷たい鉄製のドアに寄りかかって座り込んでいる男…

表札を確認する。
 -201-
確かに自分の部屋だ。

「・・・・」

眠ってる…?

「おいっ…」

試しに呼びかけてみる。
まったく反応がない。

「ちょっとおまえ!」

ゆさゆさと揺り動かしてもまったく起きる気配が無い―。

「どうしよう…。」

息はしている。
死んでいるわけじゃないらしい。


この男がドアに寄りかかっていてどいてもらわないと部屋に入れない。

それにコイツ…
このままじゃ風邪ひくぞ。

3月。暦では春だが、まだ冷え込む。コンクリートの上では冷えは更に増す。
下手したら風邪どころじゃなくなる。

「ええいっ、もうっ」




『カガリ、男を部屋に入れちゃだめだからねっ!!』

ぐったりとしている体を引っ張って部屋に運ぶ。
そうしながら、兄に言われた言葉を思い出す。

(しょうがないよな、これは・・・)



     2へつづく...
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