放課後、生徒会室に向かうアスランの後ろからあわただしい足音がした。
「アスラン!!」
アスランを呼び止めるとキラは膝に手を掛け、はぁはぁと息を整えた。
「ハァ・・アスラン、さ、放課後、ひま?」
「――特に用事はないが・・」
「そう、良かった。お願いがあるんだ・・」
キラが顔を上げて、真剣な顔になる。
「カガリが・・学校に来ていないんだ。携帯も繋がらなくて・・ 家にもいないみたいなんだ」
アスランの脳裏に朝の光景が蘇る。
他人の事情に口を挟んできて、正直、うっとおしかった。
自分のことを棚に上げる彼女に対して声を荒立てた。
いたたまれなくなったのか、カガリはそのままどこかに立ち去って行った。
「・・夜になれば帰ってくるんじゃないか」
自分のきつい口調が原因だとしたら、部屋にはなかなか帰ってこないかもしれない。
部屋に帰らないとしたら・・
「実家に帰っているとか・・」
今朝、カガリと口論になった原因は親のことだ。自分と同じ理由で一人暮らしをしているとしたら帰っている可能性は低いかもしれないが、他に行く場所はないだろう。
アスランの言葉に、キラはなぜか目を背けた。
「・・それはないよ」
キラの表情が曇る。
「カガリのお父さんは先日亡くなったし、・・・お母さんもとっくに・・」
だから、カガリの行く場所は他にないんだ・・・。
「なん、だって・・」
「カガリにはもう僕しかいないんだ。だから、心配で・・ まだ引っ越したばかりだし、事故にあったんじゃないかって・・」
『帰る家があるなら、とっくに帰ってる!』
カガリは確かそんなことを言っていた。
ただの反論だと思ってあの時は気にもしなかった。
「部屋には行ってきたのか?」
「え、ううん・・ 管理人さんに頼んで・・でも留守みたいだって・・え、ちょっと、アスランっ・・」
手にしていた資料を乱雑に棚に置いて、アスランが突然駆けだして、キラの横をすり抜けた。
「え・・っ、ちょっ・・」
キラも慌てて後を追う。
授業を終えたシンは数人の友達と駅に向かっていた。
多くの生徒は学校の近くに住んでいる。シンはこれから電車に揺られて家に帰らなければならない。
通学時間がかかるのはめんどうだが、卒業まで今の学校で過ごしたかった。
(あれ・・・)
いつものように改札をくぐろうとしたシンの目に、ぼーっと空を見つめている少女が映った。
その表情は暗く、元気がなかった。
「カガリ・・?」
シンが話し掛けてもうわの空だ。少しの間があって、少女がゆっくりとシンを見た。
「アンタ、何やってるんだ。こんなとこで・・」
暁星高校の制服はこの地区では珍しい。道行く人もちらちらとカガリを見ている。
「シン・・ あぁ、学校終わったのか・・」
「アンタ・・学校・・ 休み、なわけないよな」
「サボった、こっちが急に懐かしくなって・・」
父と過ごした家、たくさんの友人と過ごした学校。あの頃が何もかも懐かしい。
でも、もう帰る家はない・・・
カガリの瞳が少し潤んだのに気づいて、シンは慌てる。
「ちょっ、こんなとこで泣くなよ。俺がなんかしたかと思われるだろ」
「ふふ、ごめんな。」
目尻にうっすら涙を浮かばせて、カガリは笑う。
「俺、帰るけど・・」
「――うん、わたしも帰るよ。どこにいたって、何も変わらないしな」
マンションに着いたアスランは躊躇なく階段を駆け上がる。
後ろを着いて来たキラはアスランの行動が不思議でならない。
なぜアスランがカガリの部屋の場所を知ってる・・・?
戸惑いながらも、キラが階段を上がると一番奥のドアをアスランがどんどんと叩いていた。
そこはまさしくカガリの部屋で・・
「いないか・・」
インターホンの上にある電気メーターは少し揺れているだけだ。日が落ちてうっすら暗くなり始めているのだから、灯りは必要なはず。
「アスラン・・ なんでここ、知ってるの?」
「理由(わけ)はあとだ。・・・すまない、キラ。きっと・・俺のせいだ・・」
「カガリと、何かあったの・・?」
事情が飲み込めない。
アスランとカガリ。
カガリが転入した時に、挨拶をした程度であまり接点がないはず・・
カガリとの会話で親友のことを話題にしたことも、その逆もあったけれど、二人が話している場面すら見たことがない・・
そんな二人に何があったのだろう。
★
いやー、すみません。
全然アスカガじゃないし。
二次創作ってメインの二人の場面で萌えるものだと思うんですけど、
話の流れでこういう場面が入るのは仕方なく・・・
学パロはくっつくまでが長いのでちょこちょこ書いていかないと・・
映画が上映されるころまでには二人をくっつかせてあげたいなぁ・・
どんだけ長いんだっつーの(笑
ではでは。
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キーワード:学パロン。
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